【日本の何がすごいのか】

 

東北大学名誉教授の田中先生のお話は、とても深くて本質的だと思いました。

 

===引用ここから====

From 田中 英道

私は西洋美術、フランス文学から
西洋学を始めたのですが、
その私の眼から見ても、

日本人は日本のことが
わかっていないように感じます。

日本には、世界にも発信すべき
優れた思想や豊かな歴史、伝統が
強く残っているにも関わらず、
それを語るものはあまりいません。

ここで一つ、
西洋文化の研究を専門とする私が
ここ二十数年、日本の歴史を研究する
動機にも至った話を、ご紹介しましょう。

マイラーニ先生という、
とても有名な人類学者であるイタリア人が
戦中の日本にいました。

アジアが非常に好きで
チベットなどに行った方ですが、

私がイタリアにいたときに
フィレンツェに招いてくださって
お話をしたことがあります。

マイラーニ先生は
私にこのように仰いました。

「日本には大変なショックを受けました。
日本は私を目覚めさせたのです。

西洋人のキリスト教や
古典学に依拠しないで、
立派な文明を持っている国が
そこにはあったからです。

どちらを向いても
道徳的一貫性、正義感、精神的な成熟さ
を示す人々に出会うことができました。

そこで西洋のキリスト教が
最高の宗教なのではなく、

相対的、歴史的な存在なのだと
知らされました。

どの宗教、哲学も、
人間の存在、時間、死、悪を説明する
一つに過ぎないのだと。

日本人は自分達のすぐれた考え方を
西洋人に向かって書物で知らせている
わけではないけれど、

日本に行ってみると、
それを実践しているのです。

そうした日本という国の存在自体が
西洋に挑戦状を突きつけているのです。

日本という国は、
その世界地図に占める小さな位置よりも、
はるかに大きな存在なのです…….」

どういうことかというと、
日本のキリスト教徒の数は
人口の1%以下ですが、
これは、奇跡的なことです。

世界でもキリスト教が浸透しない
唯一の国と言ってもいいでしょう。

それをマイラーニ先生が
お感じになったわけです。

日本人の精神のあり方は
世界でもユニークで、

一神教ではなく、自然の中に折り合って
自然の中から生き方を学び、
人間の精神にしています。

日本人の宗教に「神道」がありますが、
神道は、自然を「自ら然り」の存在として
認知したところから、

それが人間を守り、
時に苦しめる存在として認識し、
自然を決して恨みません。

しかし、一神教の場合は、
神という人格神をそこに想定するため
自ずから無理・難題が生まれます。

戦争や災害で
「神はなぜ、人間をこれほどまでに
苦しめるのか、貶めるのか。」

という問いに至るのです。

神道においては、自然信仰が基本であり
山や木やあらゆるものに対し
深い信仰の念を持ちます。

それが太陽信仰、天照信仰です。
あらゆる神々が自然に関わった形で
存在しています。

神のことを
「一柱」「二柱」と言うのは
樹木と見ているからであり、
そうした自然信仰がキリスト教に
対抗したのでしょう。

それはまた、もともと日本に
天皇がおられたことも自然信仰の
表れだったとも言えます。

日本は国のことを「国家」と言って、
「家」がついていますが、
これは、日本だけの概念です。

State(ステイツ)とか
Nation(ネイション)という言葉にはなく
Country(カントリー)にも
「家」の意味はありません。

「国家」という言葉は、
聖徳太子の「十七条憲法」に
すでに出てきていますが、

「国家」という言葉で
スメラミコト、天皇家のことまで
説明ができるのです。

動物を含め、共同体を作る上では
必ず「主」が必要であり、
日本人はそれを見事に「天皇」という
形で作り上げました。

各家族が集まり共同体を作る。
その共同体が集まって国家を形成する
そうした連続的な概念によって、
「国父としての天皇」という在り方が
出てきたのです。

日本人は、家族や会社など
いろいろな関係の中で過ごしていくのですが、
この社会空間が「和やかさ」を保ち

そして自然空間としては、
最近では地震や台風など色々と
天変地異もあり、気候も変わったとはいえ、
やはり自然に守られて生きているのです。

自ずから、日本という空間を
感じざるを得ないのです。

それが、
自然のあらゆる動きに敏感に感じる
和歌に、あるいは俳句に
表現されています。

一歩外に出て空さえあれば
空気さえあれば
自然の動きは感じることができ、
そういう自然空間があるわけです。

それは、縄文時代から
変わっていません。

この自然は、地球は
宇宙は、そして人間の精神も
ある意味では変わっていないのでしょう。

======

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA